英語教育は早い方が良い?理由やデメリット・早期英語教育を成功させる方法まで解説
英語教育は早い方が良いといわれ、幼児期から多くの英語教材が販売されています。一方で、母国語の習得がきちんとされないうちに別の言語を学ぶと日本語の習得に弊害があるという意見もあります。
このページでは、英語教育が早い方が良い理由や早期に英語教育した場合のデメリット、成功させる方法を解説しています。
早い段階で英語教育を考える際に参考にしてみてください。
もくじ
英語教育が早い方が良い3つの理由
英語教育が早い方が良い理由を3つ解説します。
英語への抵抗がなくなる
小学校からは英語教育が必修科目となりました。英語に触れたことがない子どもの場合、テストのための勉強をしなくてはならない科目といった意識から英語の学習が始まる可能性があります。
学校のテストで点数や成績をつける学習ではなく、会話なども含めた語学として学習しておくことで、抵抗感ややらされ感、苦手意識を持たずに英語に触れることができます。
英語と母国語を同時に覚えられる
言語を習得する能力は10歳を過ぎると極端に落ちていき、10〜12歳が言葉を覚える臨界期といわれています。
臨界期とは「ある時期を過ぎるとその後学習が上達しにくくなる限界の時期」のことを言います。言語の臨界期については諸説ありますが、この時期までの子どもは大人と比較できないほどのスピードで言語を吸収していきます。
また、子どもは聞いたまま吸収していくため、英語を外国語として認識せず覚えることができます。乳幼児期の母国語を喋り出すタイミングで英語教育を始めれば、「音」として言葉を捉えていくため母国語の習得と同時に英語を覚えていくことがしやすいといわれています。
英語脳・英語耳が早くから育つ
英語を聞き分けることができる能力は「英語耳」と呼ばれていて、大人になってから身につけるのが難しいといわれています。
その理由は、言語によって使う音の領域「周波数帯」が異なるため母国語と異なる周波数帯の言語は聞き取りづらいからです。
世界にはさまざまな言語がありますが、それぞれ言語には固有の「周波数帯」があり、日本語はもっとも低い周波数帯を持つ言語といわれています。
一方で、英語はもっとも高い周波数帯、つまり高音域の言語といわれているため、幼少期に英語に触れたことのない日本人にはうまく聞き取れないそうです。
特に日本人が苦戦しやすいlとrの発音や聞き分けなどは、幼少期からの早期教育に効果が現れやすいでしょう。
また、英語で話す時に日本語で考えるのではなく、英語で考えて英語で話せることを「英語脳」と呼びます。英語脳を育むことで頭の中で一度翻訳する必要がないのでスムーズな会話が可能になります。日本語と英語はそもそも文法がまったく異なります。
そのため頭で考えながら話すよりも直感的に真似をしながら習得していく子どもの方が、違和感なく自然と吸収することができ、結果として「英語脳」を育むことができるといわれています。
多様性の理解につながる
英語を学ぶことでさまざまな人とコミュニケーションを取ることができるようになります。母国語以外の言語を話せることで異文化を意識するきっかけになったり、言語を通じて文化やその背景などを知ることは、多様性の理解へと繋がります。
幼少期に英語に触れることで言葉の壁をなくし、日本以外の多様で広い世界に対する意識を芽生えさせるきっかけになります。
英語教育を早めた際のデメリット
英語教育を早めた際に懸念されるデメリットについて解説します。
母国語での思考能力が未発達のまま他言語も学習しなくてはならない
言語は論理的にものごとを考えたりそれを説明したりするためにも、母国語での思考能力が重要な役割を果たし、認知学習言語能力(Cognitive Academic Language Proficiency)ともいわれています。
子どもが言語を習得していく過程は、胎児の頃からはじまり、生後一歳くらいで意味のある単語を話し始め、2歳ごろから話せる言葉が爆発的に増えていき、5歳ごろまでに母語の基礎ができるといわれています。
10歳ごろまでに敬語や難しい語彙などを習得しながら認知学習言語能力を育てていくことになります。
認知学習言語能力と対になる日常的な会話能力(Basic Interpersonal CommunicativeSkills)といった言葉もあります。
たとえば日本人の子どもがアメリカに移住して生活をする場合、おおよそ2年ほどでこの日常的な会話能力を身につけられるといわれています。
認知学習言語能力は言語ごとに習得していくため、日常会話が英語に変わってしまった場合、英語学習をしながら日本語での認知学習言語能力も習得する必要があります。
どちらの言語も「日常会話はできるが認知学習言語能力が未発達のまま」となってしまうと、年齢相応の言語能力が習得できていない状態となってしまいます。
しかし、日本に住んでいて日本語の幼稚園や学校に通っている場合、英語を早期教育したからといって日本語の思考能力の習得に悪い影響があるわけというわけではないようです。
出典:幼児期の言葉の獲得 東京成徳短期大学 加藤ひとみ・大國ゆきの
英語学習への強要から英語嫌いになる可能性がある
親が英語への苦手意識を持っていて、子どもに苦労させたくないと考え早期から英語教育に取り組ませること自体は問題ありません。
しかし、学習を「強要」してしまったり、間違いを指摘したりすることは、子どもが英語嫌いになってしまうかもしれないので注意してください。
「英語が話せることはかっこ良い」「英語を学ぶことは楽しい」など、子どもが自発的に取り組めるような環境を用意してあげることが重要です。
英語教育は小学校から始まり長ければ大学まで続くため、まずは学ぶことの楽しさを教えてあげるようにしてみましょう。
英語教育を早くから取り入れて成功させる方法
ここまで、英語教育が早い方が良い理由と早く取り入れた際のデメリットについてお話しました。
次に英語教育を早くから取り入れて成功させる方法を3つ解説します。
楽しみながら学ぶ
子どもはお父さんやお母さんと一緒になにかをするのが大好きです。
「自分は英語が得意じゃないからどうしたら良いのかわからない」という方もいるかもしれないですが、動画を見て一緒に歌うことでも英語学習になりますし、なにより子どもが喜んで英語を学ぶきっかけになります。
「発音に自信がない」という場合でも、恥ずかしがらず一緒に楽しむことが大切です。
また、インプットした英語をアウトプットさせてあげることも大切です。特に子どもは覚えた言葉を使いたがるので親が身構えず普段の会話の中に英語を盛り込むと自然と英語を学べる機会になるしょう。
子どもの好きな物を「英語だとなんて言うのかな?」とクイズにしても良いかもしれません。
日本語の教育も手を抜かない
外国人の友達との会話や海外で日本のことを説明する時など、「自分がいかに日本を知らないか気付かされた」という人がいます。
多様性の観点からも言語を学ぶことは文化を知ることでもあるため、日本語を学びながら日本の文化や慣習を学ぶことはとても大切なことです。
いくら英語が話せたとしても、母国自体のことや母国語への理解が不十分では本末転倒です。幼児期に絵本の読み聞かせをしたり、親子でその日あった出来事を話すだけでも十分なコミュニケーションになります。
英語で学ぶ機会を作る
英語を学ぶ際、母国語と同じようにその言語に浸りきった状態で学ぶという方法があります。「浸すこと」を意味する「immersion(イマージョン)という言葉からこの方法は「イマージョン教育」と呼ばれています。
英語を学習する教科として捉えるのではなく、英語でさまざまなことを学びながら英語力を身につけていくという方法です。たとえば、休み時間や給食の時間、遊びの時間も英語を使って会話をします。そうすることで英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ機会をどんどん作って英語を習得していくということです。
実生活の中で英語を使うことは母国語を習得する過程に近いため、特に身に付きやすい方法だといわれています。
まとめ
英語教育は早い方が良いかどうかについては賛否両論あります。
しかし、言語の臨界期であったり、「学習」に対する抵抗感が生まれてしまうことなどを考えると、早い方が良いと考える人も多いでしょう。
デメリットについてもお伝えしましたが、母国語である日本語の教育をおろそかにしなければ、効果の出やすい早い時期から英語教育をおこなうことはほとんど問題がないといえます。
グローバル化が進む中で、英語を公用語や準公用語とする国が多いので、英語を話せるととても役に立ちます。
幼児期から早期英語教育を取り入れた方が抵抗なく受け入れることができ、吸収も大人の比にならないほど早いため、早い段階で英語教育を取り入れることは子どもの将来の可能性を広げることに繋がります。
ぜひお子さんに合った方法で英語教育を早いうちから取り入れてみてください。