早期教育とは?メリット・デメリットと取り入れるときのコツ
幼児期から、子どもの可能性を信じて、能力を伸ばす早期教育に興味を持つ人も多いでしょう。
しかし、いざ早期教育について調べようとすると、さまざまな情報があふれているため、「早期教育って具体的にどんなこと?」「早期教育で本当に子どもは賢くなる?」「早期教育に弊害はないの?」といった疑問を持つ人も少なくありません。
そこで今回は、早期教育とは何か、メリット・デメリットはあるのか、取り入れる際の注意点を詳しく紹介します。
もくじ
早期教育とは?幼児教育との違いなど基本情報
早期教育という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのような教育を指すのかわからない人も多いでしょう。
ここでは、「早期教育とは何か」「幼児教育との違いは何か」「早期教育の具体例にはどのようなものがあるのか」の3つの観点から詳しく解説していきます。
早期教育とは
早期教育とは、未就学である0〜6歳の子どもに対して知的能力や音楽・美術などの教育を行い、教育効果を高めようとする試みのことをいいます。
内容としては文字の読み書き・計算・英語など、のちの教科につながる特定分野を伸ばす取り組みが行われることが多いです。
多くの早期教育では、集中力・記憶力・判断力などを鍛える学習が行われます。
幼稚園や小学校の受験対策として、早期教育を取り入れるご家庭も少なくありません。
早期教育と幼児教育の違いは
早期教育と似た言葉に幼児教育があります。早期教育と幼児教育は、同じ幼児期の子どもを対象にした教育法ですが、大きな相違点は教育の目的です。
早期教育は、知識や技術の習得と、学習の先取りを目的として行われます。
一方、幼児教育の目的は、子どもの内面に働きかけ、目先の結果よりも学習意欲や探求心などを培うことです。
また幼児教育では、学習の基礎を作り、社会性を身につけることが重視されています。
これは、文部科学省の『子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について(答申)』の中でも、幼児教育と早期教育の相違点とされています。
出典:子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について(答申)|文部科学省
早期教育の具体例は
早期教育とひとことで言っても、学習だけでなく芸術系からスポーツまで幅が広く、方法も多様です。早期教育の主な具体例は、以下の5つに分けることができます。
・「超早期教育」……胎児期や乳児期の脳に刺激を与える教育
・「幼児就学前教育」……幼児期から文字の読み・書き・計算の習得を目指す教育
・「早期英語教育」……幼児期から英会話や英語の読み・書きの習得を目指す教育
・「芸術志向型早期教育」……ピアノ・ヴァイオリン・絵画など芸術教育
・「習い事型早期教育」……バレエ・水泳・体操などスポーツ教育
このように、早期教育として取り組まれる習い事や教育法は、対象年齢や目的もさまざまです。
重視している考え方や、アプローチの手法にも違いがあります。子どもにあった教育法を選ぶためにも、それぞれの教育の特徴を理解して、家庭の教育方針と相性の良いものを選ぶことがおすすめです。
早期教育のメリット
実際に子どもに早期教育を行うと、どのような利点があるのでしょうか。ここでは、早期教育のメリットを詳しく解説します。
基礎的な学力を伸ばせる
まず挙げられるメリットは、就学前に読み・書き・計算といった基礎的な学力を身につけられることです。
幼児期に小学生からはじまる授業の内容の基礎的な部分ができていれば、授業でつまずく心配がありません。
就学後の新しい環境の中でも、授業の内容が理解できることで学習意欲が高まり、さらなる能力の向上が期待できます。
家庭においても、自力で文字が読めることは、絵本に興味を持つことにもつながるでしょう。
得意分野を引き出せる
早期教育を行うと、子どもの得意分野を引き出せることもあります。
幼児期は、子どもの興味や得意なことがわかりづらいこともあるでしょう。
そのようなときに、早期教育の活動やさまざまな体験を通して知的好奇心を刺激すると、何に興味があるかを見極めることも可能です。
得意なことが見つかった場合は、より専門的な教育を受ける環境を整えて、才能を伸ばすこともできるかもしれません。
子どもに自信がつく
早期教育を行うと、子どもに自信がつくこともメリットです。
早期教育では、活動や取り組みを通じて、子どもが成功体験を得ることができます。
手先をうまく使って、自分の思い通りの作品が作れることもあるでしょう。
難しく感じていたパズルが解けるなど、一つひとつは小さな成功だとしても、成功体験を積み重ねることで「自分はできる」と自分への自信へとつながります。
「取り組んだことがうまくいった」「精いっぱい取り組んだら、できるようになった」という成功体験は、大人になってからの活動にも影響を及ぼすでしょう。
早期教育のデメリット
早期教育に魅力を感じていても、「早期教育は意味がない」など、ネガティブな声を耳にして心配になる人も少なくありません。
そこで、事前にデメリットも理解してから、取り入れるかの判断をしたいものです。ここでは、早期教育のデメリットを紹介します。
主体性がつきにくい
早期教育のデメリットは、子どもの主体性がつきにくいことです。
早期教育では、あらかじめ決められた取り組みに沿って、活動を行うという形式になりがちです。
遊びの要素を取り入れていたとしても、パターン化された課題に子どもが反応するという受動的な訓練では、主体性が育みにくくなります。
早期教育を行う教室を選ぶ際は、どのような指導方針で行われているのかや、指導者の声掛けは主体性を阻むものでないかを見極める必要があります。
創造性が育まれにくい
創造性が育まれにくいことも、早期教育のデメリットだと言えます。
早期教育をする中で、大人が先回りして答えを教えてしまうと、子どもの自由な発想を押さえつけてしまうリスクが伴います。
しかし、近年では、探究活動や表現活動を育む教育法も注目されはじめているため、すべての教育法がそうであるとは言えません。
さまざまな教室を目にしながら、子どもの性格や家庭の教育方針にあった教育法を選ぶことが重要です。
精神的な負担を与えかねない
早期教育では、子どもに精神的な負担を与える可能性がある点もデメリットです。
子どもは、評価される立場にいると、親の期待に応えようと大人の評価を気にしすぎる傾向があります。
「親の期待に応えられる子はいい子、応えられない子は悪い子」という考えを植え付けてしまう可能性も少なくありません。
「自分は自分でいい」という自己肯定感や自尊感情を失わないよう、健全な成長をサポートしていくことが重要です。
早期教育を取り入れる際に注意したいこと
早期教育をはじめるときには、子どもの興味や自主性を尊重するなどの点に注意が必要です。
ここでは、早期教育を行う際に、注意すべきことを解説していきます。
子どもが楽しんでいるかを大切にする
早期教育を取り入れる際は、子どもが楽しんでいるかを大切にしましょう。
子どもは、楽しめる活動であれば、親が働きかけることなく自発的に取り組むものです。
早期教育は、メソッドごとに考え方や教育法が大きく異なります。子どもをよく観察し、子どもが興味を示しているか、意欲的に取り組んでいるかを見極めて、適切な早期教育を行いましょう。
自主性を尊重する
早期教育を取り入れるときは、子どもの自主性を尊重しましょう。
子どもがやりたがらない勉強を押し付けたり、できないことを叱ったりしてしまうと、学習意欲の低下につながりかねません。
やりたい気持ちを、素直に表せる環境を準備することも大切です。子どもの成長を「見守る」という視点で、早期教育を取り入れることをおすすめします。
自由な時間をつくる
早期教育を取り入れる際は、子どもの自由な時間をつくることも大切です。
早期教育に時間を費やしてしまうと、子どもが自由に遊べる時間が少なくなることがあります。
子どもにとって、自由な時間・遊びの時間は学びの宝庫です。
自分のしたいように遊びの中で試行錯誤することは、思考力を育みます。
また、同世代の子と関わり、やりとりを重ねていく中では社交性が育まれます。早期教育に力を入れすぎて思考力や社会性を学ぶ機会を奪うことのないよう、バランスを考慮しましょう。
他の子と比べない
他の子と比べないことも、早期教育を取り入れる際には重要です。
一人ひとり異なる子どもの能力を、きょうだいや他のご家庭の子と比べることには、意味がありません。
どうしても比べてしまうときは、比べる対象を過去のその子に変え、成長したことを褒めましょう。
そうすることで、子どもも達成感を覚え、成長を自分でも感じられるようになるはずです。
まとめ
早期教育には、さまざまな種類があります。
子どもの可能性を広げてあげたいという思いから、早期教育を取り入れたいという気持ちもあるでしょう。
しかし早期教育には、メリットだけでなくデメリットがあることも見逃せません。
早期教育を取り入れる際は、子どもが楽しんでいるかに着目し、子どもやご家庭にあった教育法を選びましょう。