遊びが子どものコミュニケーション力を伸ばす!大人が知っておくべきポイントを解説
子どものコミュニケーション力を伸ばすために、遊びは欠かせません。
遊びこそ、語彙力・自分の気持ちを表現する力・相手の気持ちを理解する力を、自然と身につけることができるからです。
しかし、子どもと遊ぼうとしても「どうやって遊んだらいいのか分からない」という方は案外多いです。
このページでは「コミュニケーションを深められる、年齢に適した遊びとは?」「親子で遊ぶときのポイントは?」という疑問に応えるため、遊びを通して子どものコミュニケーション力を伸ばすために大人が知っておきたいことについてご紹介します。
もくじ
遊びが子どものコミュニケーション力を伸ばす理由
子どもにとって「遊び」は必要不可欠です。以下のような理由が、子どものコミュニケーション力を伸ばすことにつながるからです。
・社会性が身につく
・相互理解ができるようになる
・他者との絆を深められる
1つずつ、見ていきましょう。
社会性が身につく
遊びがコミュニケーション力を伸ばす理由の1つ目は、社会性が身につくからです。
遊ぶ相手が大人であっても子どもであっても、人との触れ合いの中では、自然と会話が生まれます。その会話からは、語彙力や表現力だけでなく、決まりを守るなどの社会性を育むこともできます。
「社会性を育てたい」という理由で、子どもに習い事をさせるケースがありますが、人間関係や集団生活のベースは、遊びから学ぶことの方が多いです。
遊びを通じて社会性を身につけることで、人との関わりの基礎を学べます。
相互理解ができるようになる
遊びがコミュニケーション力を伸ばす理由の2つ目は、相互理解ができるようになるからです。
コミュニケーションの基本は「相手の言っている意図を理解する」「自分の言いたいことを伝える」ことです。お互いの言っていることを分かり合わないと、コミュニケーションはできません。
例えば「ごっこ遊び」は、人の表情を読み取ったり、言っている内容にリアクションしたりし、それを受けてストーリーを展開させることが、子どもにとっての楽しみです。
このように子どもが遊びを広げていくプロセスは、お互いの発言や思いを理解し合う力を自然と育みます。
他者との絆を深められる
遊びがコミュニケーション力を伸ばす理由の3つ目は、他者との絆を深められるからです。
親・先生・友だちなどと共に楽しく過ごす経験を重ねることで、人との絆を深めることができます。その絆は、コミュニケーションのベースとなる「相手への信頼感」でもあります。
信頼できる人の存在があることで、少し難しい課題が生じても「友だちと一緒ならできるかも」「先生を驚かせたい」などと、挑戦する意欲がわくこともあります。
他の人と過ごすときでも本人が安心していられることは、結果的に自己肯定感を高めることにもつながります。遊びを通した楽しい時間が、充実した人間関係を築く土台となるでしょう。
コミュニケーションを深めやすい育児中の遊びの種類
子どもの遊びにはさまざまな種類がありますが、コミュニケーションを深めやすい育児中の遊びには、以下のようなものがあります。
・言葉遊び
・ごっこ遊び
・自然遊び
・ゲーム
・外遊び
1つずつ、見ていきましょう。
言葉遊び
しりとり・なぞなぞ・逆さ言葉・早口言葉などの「言葉遊び」は、言葉のキャッチボールをする中で、自然とコミュニケーションをとることができます。
言葉を覚え始めの子どもにとっては、言葉の響きやおもしろさを感じながら知らない言葉を知るきっかけになり、語彙力が高まります。
また相手が使っている言葉を真似したりすることで、表現力が身につきます。言葉遊びは「聞く力」が重要であるため、人の言っていることをよく聞く習慣も身につくでしょう。
年齢が上がれば、かるたやクロスワードパズルなどの遊びに発展します。言葉遊びは思考力や記憶力を高めながら、コミュニケーション力のベースを養うことができます。
ごっこ遊び
ままごと・劇などの「ごっこ遊び」は、役になりきることで、自分とは違う人の気持ちに寄り添う力や表現力を育むことができます。
自らの思いを表現するのが苦手な子どもでも、ごっこ遊びではスムーズに言葉が出ることがあり、会話が展開しやすいというケースもあります。
ごっこ遊びは、場面設定や相手の言動に合わせて、発言したり行動したりします。状況や人の思いを読み取ることが求められるため、現実にも反映しやすい日常生活のコミュニケーションのトレーニングにもなります。
自然遊び
水遊び・昆虫採集・キャンプなどの「自然遊び」は、人とコミュニケーションをとりながら課題を解決する力や協調性を養うことができます。
自然の中には、おもちゃも決められたルールもありません。しかし自らが遊び方を開拓できるようなたくさんの発見が得られます。
また、植物や虫など人間以外のたくさんの命が存在しているため、「もっと知りたい」という探究心や、命を慈しむ感受性も育まれるでしょう。
壮大さ・不思議さ・神秘さを目の当たりにする自然遊びでは、共に過ごしている人と体験の共有や助け合いがおのずと行われるため、コミュニケーションの機会が必然的に増えていきます。
ゲーム
宝探し・ボードゲーム・カードゲームなどは、人と対等に関わる体験ができます。
ゲーム上では1つのルールに従って勝負するため、遊ぶ相手が大人であっても「遊んでもらう」のではなく「一緒に遊ぶ」体験になりやすいです。
プレイする中で自然と言葉も交わし、勝敗を決めるワクワク感やドキドキ感を一緒に味わうことで、絆が深まることもあります。
一方で、ゲームと言っても、コンピューターゲームを敬遠する保護者は多いです。
しかし、コンピューターゲームが得意であることが、友だちとのコミュニケーション活性化につながっている子どももいます。
家庭内で折り合いをつけながら、コミュニケーションの方法として楽しむのも1つの方法かもしれません。
外遊び
公園での遊具遊び・鬼ごっこ・探検などの「外遊び」は、決まりを守ったり集団生活を学んだりするカギになります。
公園などでの外遊びは、幼稚園や学校などが違う子どもや、年齢の異なる子どもと接する機会が増えます。初めて会う人とコミュニケーションをとることもあるでしょう。
年上の子どもは、年下の世話をする役割を担うことによって、年長者としての自覚が芽生えます。年下の子どもは、年上に遊んでもらったり優しくしてもらったりすることで、自分よりも年下の子どもに思いやりを持てるようになります。
また、知らない人と接する場では、普段にはないやりとりや、ちょっとしたトラブルなども起こりやすいです。そういった状況で過ごす外遊びは、コミュニケーション力を伸ばす絶好の機会とも言えます。
年齢別|遊びを通した幼児期のコミュニケーションの特徴
幼児期の子どもと遊びを通してコミュニケーションを深めるためには、成長のレベルに合った遊びを選びましょう。
ここでは、年齢ごとの一般的なコミュニケーションの特徴と、その年齢に適した遊びをご紹介します。
・0歳児(赤ちゃん期)
・1歳児
・2歳児
・3~4歳児
・5~6歳児
1つずつ、見ていきましょう。
0歳児(赤ちゃん期)
0歳児の赤ちゃんは、2〜3ヶ月頃から声かけに反応して笑ったりするようになります。そして4〜5ヶ月頃から「アーウー」などの喃語を話すようになります。
しかし言語能力はまだないため、ジェスチャーを交えながら大人が話しかけるのがコミュニケーションの基本です。
人とのコミュニケーションが安心感につながり、そこから情緒を発達させていくので、0歳児の赤ちゃんは、耳から聞こえる音や声を使った遊びから始めます。
徐々に「つかむ」動作も覚えていくので、手指を使った感覚遊びも始めていきましょう。
<0歳児の特徴を生かした遊び例>
・ラトルなどの音の出るおもちゃ遊び
・手遊び歌
・紙をちぎったり、丸めたりするなどの感覚遊び
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1歳児
1歳児は、言葉を理解し始め、自己主張が生まれます。「ママ」「ぶーぶー」「わんわん」などの単語を話すようになり、次第に二語文を話し始めます。
ただ、言葉での表現はまだまだ難しいので、笑ったり、泣いたり、叫んだりなど、言葉以外の方法で意思を伝えることが多いです。
見るもの・聞くもの・触るもの全てが新鮮であり、吸収していく時期になります。
五感を刺激する遊びの中で「冷たいね」「嬉しいね」など、感触や感情を表す言葉をゆっくりと話しかけながらコミュニケーションをとるのが良いでしょう。
自然に触れたり体を動かしたりすることで脳を刺激し、情緒を育て、自分の思いを表現する力のベースを養います。
<1歳児に適した遊びの例>
・絵本の読み聞かせ
・砂遊び・水遊びなどの自然遊び
・追いかけっこ
2歳児
2歳児は、自己主張が激しくなりますが、相互コミュニケーションが始まる時期でもあります。個人差は大きいですが、多くの子どもが二語文を話すようになります。
他の子どもに興味を持ち始め、真似をしたり、物を取り合ったりすることも出てきます。1人で遊んでいては感じられない、他の人の存在があるからこその感情が芽生えてくるでしょう。
「あれは何だろう?」「どれがいい?」など大人がリードすることで、会話や遊びを発展させることができます。子どもの目を見てコミュニケーションを重ねることで、徐々に相互理解の手段である「会話」を学んでいきます。
<2歳児に適した遊びの例>
・お絵描き
・公園での遊具遊び
・虫探しなどの自然遊び
3〜4歳児
3〜4歳児の多くは、スムーズに会話ができるようになり、子ども同士でもコミュニケーションをとりながら遊び始めます。相手の求めに適切な応答をできないこともまだありますが、社会性も育つ時期です。
文字・数字・乗り物・動物・キャラクターなど、子どもが興味を持ったものや好きなものに関して質問することで、好奇心を満たすことができます。
簡単なルールが理解できるようになるので、しりとりやごっこ遊びなどもおすすめです。遊びながら他の人とやりとりすることで、コミュニケーション力がぐんぐん伸びていきます。
<3〜4歳児に適した遊びの例>
・しりとりなどの言葉遊び
・ごっこ遊び
・探検などの外遊び
5〜6歳児
5〜6歳児は、自分の気持ちを言葉で表現できるようになり、相手の気持ちにも徐々に寄り添えるようになります。様々な世代ともコミュニケーションがとれるようになったり、へりくつを言うようになったりする時期でもあります。
1対1の関係だけでなく、集団生活の中で人間関係を築いていくため、意見が違うときは言葉を使って調整することも学んでいきます。
さまざまな遊びを楽しめるようになるので、ゲームのルールを言葉を使って説明したり、集団の中で自分の意見や気持ちを表現したりすることで、コミュニケーション力がより一層高まります。
<5〜6歳児に適した遊びの例>
・なぞなぞ・早口言葉などの言葉遊び
・ごっこ遊び
・トランプやかるたなどのゲーム
親子で遊びながらコミュニケーションを深めるポイント
幼児期に遊びを通して育まれるコミュニケーション力は、将来を生きる力につながります。ここでは、親子で遊びながらコミュニケーションを深めるポイントをご紹介します。
・子どもが主体的になれる遊びをする
・話を否定せずよく聞く
・大人も一緒に楽しむ
1つずつ、見ていきましょう。
子どもが主体的になれる遊びをする
親子でコミュニケーションを深めるポイントの1つ目は、子どもが主体的になれる遊びをすることです。
大人が指示ばかりしていると、無意識に子どもの意思や意欲が削がれ、コミュニケーションが一方通行になってしまいます。
子どもが主体的になれる遊びをすることで、自己実現力が高まります。子どもの「やりたい!」という思いを尊重し、のびのびと遊ぶことで得られる楽しさは、子どもの成功体験とも言えます。
また、子ども同士で遊んでいるときは、大人が介入せずに見守ることも重要です。
口出ししたくなるような場面もあるかもしれませんが、遊びを通した交流こそがコミュニケーション力を伸ばします。大人は安全に遊べる環境を整え、子どものサポート役に徹しましょう。
話を否定せずよく聞く
親子でコミュニケーションを深めるポイントの2つ目は、話を否定せずよく聞くことです。
子どものペースや世界観を大切にすることで、会話や遊びが発展しやすくなります。
遊びの中で必要なことは、正しさを伝えることではなく、子どもの行動・感情を受け止めることです。
例えば、思っていた遊び方をしないと「やり方が違う」「それは危ない」などと親は言いがちです。しかし「工夫したね!」「そんな遊び方もあるね!」と子どもの行動を一度受け止めるだけで、自己肯定感が高まり、コミュニケーションが深まります。
また、子どもの行動に対し「なぜそうしたの?」という質問の答えから、子どもの発想力・創意工夫に驚くことも多いでしょう。そこから生まれる親子の対話によって、子どものコミュニケーション力はさらに伸びていきます。
大人も一緒に楽しむ
親子でコミュニケーションを深めるポイントの3つ目は、大人も一緒に楽しむことです。
何より親が自分との時間を楽しんでいると、子どもはとても嬉しいものです。親子の遊びによって子どもの情緒が安定すると、親の心も乱れにくくなり、お互いの笑顔につながります。
核家族化や共働きの影響もあり、親子でのんびり遊ぶ時間がなかなかとれないことも多いですが、大切なことは「時間の長さ」ではなく「時間の質」です。
家事や仕事、スマホ操作をしながら子どもと過ごすのではなく、たとえ短時間であっても、しっかりと子どもに心を向けましょう。親子の遊びの中でコミュニケーションをとることが、子どもの健やかな成長にはとても重要です。
まとめ
このページでは、子どものコミュニケーション力を伸ばすために大人が知っておきたいことについてご紹介しました。
遊びを通してさまざまな人と触れ合うことで、子どものコミュニケーション力はぐんぐん伸びていきます。この力は子どもが将来を豊かに生きていくための糧となります。
毎日忙しく、子どもと遊ぶ時間をとるのが難しい方も多いですが、短時間でもしっかりと子どもに心を向けることが肝心です。発達レベルに合った遊びを選び、子どもの「楽しい!」という気持ちを大切にすれば、コミュニケーション力をさらに伸ばすことができるでしょう。