子どもの人格形成はいつから?影響を与えるものと親ができることを解説
子どもに豊かな人生を歩んでほしいと願う保護者の方にとって、子どもの人格形成は非常に重要な課題です。
「子どもが自分とは全く違う気質で理解できない」「自分に似て消極的なところがある」など、子育てをする中で、子どもの人格について気になることはありませんか?
子どもの人格形成に影響を大きく与えるのは、「遺伝」より「環境」です。
このページでは、子どもの人格形成の時期・影響するもの・親ができることなどについて、詳しくご紹介していきます。
もくじ
子どもの人格形成はいつから?
子どもの人格形成は、生まれた瞬間から始まります。
0〜2歳の乳幼児期に、信頼感・安心感を得ることで自己肯定感が育まれ、人格の土台が形成されます。
脳の発達が急速に進むこの時期に「自分が愛されている」「自分は必要とされている」という肯定感を育むことが、その後の対人関係や心の安定に大きく影響するため、大切です。
3〜5歳の幼児期は、自分の欲求や感情を表現する能力を身につける時期で、家庭や幼稚園・保育園などの社会的環境が子どもの人格形成に大きな影響を与えます。
さらに、学校などの社会的環境に身をおく機会が増える6歳以降の学童期は、あらゆる経験の中で自分の価値観を形成していきます。
この頃になると、それまでに築かれた性格に即して行動することが増えるため、個人差が大きくなる傾向があります。
つまり、子どもの人格形成は生まれた瞬間から始まり、年齢が上がるにつれて、社会的環境の影響を受けやすくなります。
子どもの人格形成に影響を与えるものは?
子どもの人格形成に影響を与えるものは、以下の通りです。
・遺伝的要因
・環境的要因
これらがお互いに作用して、子どもの人格形成に影響を与えます。それぞれを見ていきましょう。
遺伝的要因
子どもの人格形成に影響を与えるものの1つ目は、遺伝的要因です。
顔立ちや体つきなどの身体的特徴が遺伝することは誰もが知るところですが、人格も遺伝的要因が影響する可能性があると考えられています。
しかし、これは「積極的・消極的」「活発・慎重」など、性格や気質と表現されるようなものを指すことが多いです。
もし遺伝の影響を受けていたとしても、両親の遺伝子は子どもにランダムに伝わっているため、どちらかの親と同じ性格になるということは考えにくいです。
また「遺伝が大きく影響する特性もあるが、環境の影響も受けやすいという考えが現在の主流である」という論文も発表されています。
出典:浮田徹嗣「性格に与える遺伝的要因と環境的要因に関する考察─心的現実の再発見─」|横浜市立大学論叢
環境的要因
子どもの人格形成に影響を与えるものの2つ目は、環境的要因です。
現在は、遺伝的要因より環境的要因の方が人格形成に大きく影響すると考えられており、その具体例は以下の通りです。
・親や家族構成
・生活環境
・幼児期の過ごし方
それぞれをご紹介します。
親や家族構成
人格形成に影響する環境的要因の1つ目は、親や家族構成です。
親との関わりや家族・兄弟構成による家庭内での子どもの立場は、人格形成に影響します。
子どもの頃に、自分の意思や行動が親や周囲の家族から受け入れられる経験をするほど、自己価値感や他者との関係を築くためのベースを得ることができ、情緒が安定しやすいです。
また、親の生き方は、子どものモデルとなります。生まれた後、一番触れ合う機会の多い親や家族の行動や価値観を真似することから、子どもは社会的スキルの獲得を始めます。
子どもにとって一番近い存在である親や家族は、人格形成にあたり、非常に影響を与えやすいのです。
生活環境
人格形成に影響する環境的要因の2つ目は、生活環境です。
例えば、親のけんかが多い・家庭内の雰囲気がいつも悪いといった生活環境であれば、子どもの情緒が安定せず、人格形成に悪い影響を与えます。
家の間取りが、生活環境に影響することもあります。家族がリラックスできるリビングがあると、会話が生まれやすくコミュニケーションの質が高まり、思考力や表現力が高まることもあります。
また、学校などの教育環境も子どもの人格形成には重要です。教育体制・先生や友だちとの関係・学校のルールなどは、子どもの自己評価や対人関係に大きく影響を与えるでしょう。
幼児期の過ごし方
人格形成に影響する環境的要因の3つ目は、幼児期の過ごし方です。
幼児期は人格形成のベースとなる重要な時期です。この頃に心に刻みこまれる思考パターンや価値観は根強く、将来にわたって影響を及ぼすからです。
子どもが信頼感や安心感を得られる愛情豊かな環境で過ごすと、他者との関係を築けるベースが作られます。
また、幼児期に子どもの興味に合わせた多くの遊びを経験すると、好奇心・意欲・問題解決能力を発達させることができます。
さらに、幼児期から適切なルールや習慣のある環境で生活すると、自己制御や責任感が身につき、人格形成につながる自己管理がしやすくなります。
子どもの健やかな人格形成のために親ができること
子どもの健やかな人格形成のためには、子どもが「認められている」という自己肯定感を持てるようサポートすることが重要です。
親が具体的にできることは、以下の通りです。
・子どもの話をよく聞く
・絵本の読み聞かせをする
・親子でスポーツや外遊びを楽しむ
1つずつ、見ていきましょう。
子どもの話をよく聞く
人格形成のために親ができることの1つ目は、子どもの話をよく聞くことです。
親が子どもの話に耳を傾け、理解しようとする姿勢を持つことで、親子の信頼関係が育ちます。そして、子どもは自分自身を尊重し、自分を表現する自信を持つことができます。
また、子どもは話すことで、言語能力が発達し、自分の思考が整理されるようになり、コミュニケーション力も向上します。
さらに、親が子どもの話を真剣に受け止め、共感し、興味を示すことで、子どもは感情をコントロールできるようになるでしょう。
子どもの話をよく聞くことは、子どもにとって「親に存在を受け止められている」という認識につながるので、子どもの健やかな人格形成のために、非常に重要な役割を果たします。
絵本の読み聞かせをする
人格形成のために親ができることの2つ目は、絵本の読み聞かせをすることです。
絵本の読み聞かせによって新しい言葉や表現を学ぶことができるので、子どもは語彙力が豊かになり、コミュニケーション能力も向上します。
さまざまなストーリーやキャラクターに触れることで、「自分が今いる世界だけが全てではない」「自分とは違う考えの人がいる」ことを知り、多様性や人間としての賢さを学ぶことができるでしょう。
また、 絵本の読み聞かせによって親子の絆を強めることもできます。大人が積極的に関わってくれている姿が信頼関係を深め、子どもの安心感や自己価値感を高めます。
親子でスポーツや外遊びを楽しむ
人格形成のために親ができることの3つ目は、親子でスポーツや外遊びを楽しむことです。
スポーツや外遊びをすると、子どもにとってまだできないことにチャレンジする機会が増えます。
何度も繰り返し練習するなどの努力を重ねることで、子どもはどんどん新しいスキルを習得するでしょう。これが子どもの自信につながります。
一方で、競争が激しすぎたり、成果が重視されすぎたりする環境は、「自分にはできない」と自己肯定感に悪影響を与えることもあるので、注意が必要です。
スポーツや外遊びは、親子のコミュニケーションの機会にもなります。
親が一緒に楽しんでいる状況は、子どもの喜びにつながります。スポーツや外遊びを通じて、親子で信頼関係を深めながら、社会的スキルを高めることができるでしょう。
まとめ
このページでは、子どもの人格形成の時期・影響するもの・親ができることなどについて、ご紹介しました。
子どもの人格形成は、この世に生まれた瞬間から始まります。
乳幼児期の環境は、子どもの人格形成に大きな影響を与えます。特別なスキルを教えるのではなく、子どもの存在・気持ち全てを受け止めることが重要です。
家庭で得られる信頼感・安心感があれば、さまざまな社会的環境の影響を受けながら、健やかに人格が形成されていくでしょう。