モンテッソーリ教育に期待できる6つの効果と家庭に取り入れる方法を解説
モンテッソーリ教育とは、子どもが自立に向けて自ら成長していくために、自発的に学んだり活動したりするのをサポートする教育方法のことです。
モンテッソーリ教育を受けていた著名人は、FacebookやGoogleの創業者や、藤井聡太棋士など、めざましい活躍をしている人々が多い印象です。
このページでは、モンテッソーリ教育に期待できる効果を6つ厳選して解説しています。
また、家庭で簡単にモンテッソーリ教育を取り入れる方法も紹介していますので、ぜひ参考にされてみてください。
もくじ
モンテッソーリ教育に期待できる6つの効果
モンテッソーリ教育は、教育者が教え、子どもたちが実践するといった方法ではありません。
子どもが自ら考え、実践するのをサポートすることで成長を見守る方法になります。
このモンテッソーリ教育により、どのような効果が期待できるのか、具体的に6つ紹介します。
自主性や積極性を伸ばすことができる
モンテッソーリ教育における教師は、一方的に知識を教える存在ではありません。
一人一人の子どもが「自分一人でする」ために、その時必要な手助けをする存在です。
子どもが「一人でできた!」という成功体験を積むことで達成感を味わい、自分自身の行動に自信を持つことにつながります。
自分を成長させているのは自分だという自覚が「自らで考え、選び、行動する」ことにつながるため、それが当たり前になると、行動が自主的で積極性のあるものになっていきます。
集中力や想像力を養える
子どもが集団生活を始めると、集団の都合で時間を区切らざるを得ないことがあります。
しかし、モンテッソーリ教育ではそれがありません。
子どもが興味を持った対象について、自分のペースで心ゆくまで集中して取り組むことができるのです。
また、自らがやりたいことにトコトン取り組めるため、そのような経験を繰り返すことで集中して物事に取り組む力が養われると言われています。
・お絵描き
・シール貼り
・ねんど遊び
・積み木遊び
・ブロック遊び
上記などの物事で自由に表現することにより、手先の動かし方を学び、その先にどのような物をつくることができるか想像する力を育みます。
コミュニケーション能力や社会性が育つ
モンテッソーリ教育では「縦割り保育」を行っている場合がほとんどです。
集団保育では、主に年齢ごとにクラス分けされますが、縦割り保育では、クラスの中にさまざまな年齢の子どもたちを混ぜて保育を行います。
このメリットは、子どもたちが関わり合う中で、自然とコミュニケーション能力が育まれることです。
年齢が上の子どもは、下の子どもに対しておもちゃの遊び方を教えたりお世話をしたりします。
逆に年齢が下の子は、年齢の上の子どもたちがどのような過ごし方や遊びをするのか見て学んだりします。
大人が指示しなくても、年長さんがリーダーシップをとり、身支度や片付けなどを子どもたち同士でやりとりしながら進めることで、コミュニケーション能力が養われるのです。
また、実際の社会と同じようにさまざまな年齢の子どもたちと生活するため、この「縦割り保育」は早い段階から社会性を育てることにもつながります。
情緒が安定しやすい
モンテッソーリ教育では、子どもも「一人の人間」として尊重されます。
大人たちは「ダメ!」「やめなさい!」などと言うのではなく、「あなたの気持ちを受け入れますよ」という姿勢でいます。
そのため、子どもたちは「そのままの自分で受け入れてもらえる」という安心感を得ることができ、これによって自己肯定感が育まれます。
自己肯定感が高い子どもは、自分の中に基準があるため周りに振り回されることがなく、情緒が安定しやすいと言われています。
個性を伸ばすことができる
子どもたちの個性が自然と引き出せるような環境が整っているのも、モンテッソーリ教育の特徴の一つです。
子どもによって興味や関心をもつ対象はさまざまなため、それぞれの子どもが自分の興味や関心のある分野に夢中になれる環境づくりがされています。
先述したとおり、集中を時間によって切られることがなく、物事に思い切り打ち込めるため、子どもの個性を伸ばすことにつながります。
手先が器用になる
モンテッソーリ教育では、遊びを含めた普段の活動を「お仕事」と呼びます。
・箸であずきやおはじきをつまんでお皿にうつす
・ボタンの留め外しをする
・ひも通しをする
上記のような手先のトレーニングにつながる「お仕事」が多く用意されているため、指先の巧緻性(こうちせい)が向上します。
モンテッソーリ教育の効果を高めるための注意点
モンテッソーリ教育では子どもが自由に選び、何度も集中して取り組める「環境」を与えることが特に重要です。
このほかに、効果を高めるための注意点を具体的に2つ紹介します。
教具(教材)の使い方を理解する必要がある
モンテッソーリ教育では、「教具」と呼ばれる知育玩具を使用します。
教具は、発達段階によって期待する知育効果がそれぞれ異なるため、教育者はそれぞれの教具が持つ特徴についてしっかりとした理解が必要です。
また、子どもたちが今どのような発達段階にいるかを観察し、正確に見極めて教具を提供する必要があります。
「発達段階」とは簡単に言えば、ハイハイができなければ自分で立って歩けるようにならないということです。
モンテッソーリ教育では、発達段階の順序は入れ替わることはないとされています。
そのため、発達段階にのっとり適切に教具を提示しなければ意味がない、と考えられているのです。
言葉だけ「モンテッソーリ」といっている教育機関もある
モンテッソーリ教育には認定資格があります。
そのため、どのくらいモンテッソーリ教育に力を入れているのか深度を測る目安として、認定資格を持った先生の在籍人数をチェックすることがあります。
しかし、モンテッソーリ教育には明確なマニュアルやレジュメ(文章を要約したもの)などが用意されているわけではありません。そのため、いくら認定資格を持っていたとしても、指導のクオリティにバラつきがあるのが事実です。
「自主性を重んじる」という字面のみ実践し、子どもを放置している可能性もゼロではないのです。
施設のホームページなどにモンテソーリ教育をおこなっていると書かれていたとしても、情報収集をしっかりとした方が良いでしょう。
たとえば、入園する前に実際に通わせている親御さんに話を聞くなどすると、リアルな実態を知ることができます。
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モンテッソーリ教育を家庭へ効果的に取り入れる方法
保育園であれば0歳児から入園することができますが、幼稚園の場合は満3歳児やプレ入園など、0〜2歳までは家庭保育をせざるを得ない場合がほとんどだと思います。
園に入れる前の家庭保育期間でも、資格を持っていない親御さんが手軽にモンテッソーリ教育を家庭に取り入れられる方法があります。
以下に紹介しますので、参考にしてみてください。
手作りでもいいのでモンテッソーリの教具を用意する
モンテッソーリ教育の「お仕事」でもあるシール貼りやひも通しなどは、高い教具を購入せずとも100円ショップなどで手軽に用意することが可能です。
そのほか「入れる」「引っ張り出す」「分ける」「落とす」など、100円ショップで購入できるアイテムを組み合わせて作れる教具がたくさんあります。
3歳ぐらいまでの発達段階に合わせた教具であれば、100円ショップで用意することが十分可能です。
作り方はネットで検索すると書籍やブログなどたくさん出てくるので、手作り教具で家庭保育にモンテッソーリ教育を取り入れてみましょう。
子どもの発達段階に合わせた無理のない教育
ある物事に対して特に興味を持つ時期を「敏感期」と呼んでいます。
「敏感期」に適切なチャレンジをさせると、その能力をいとも簡単に吸収し、グンと伸ばすことができると考えられています。
ここで大切なのは、その時期に何に対して子どもが興味を持っているのかを見誤らないことです。
身近にいる家族だからこそ、日々の生活の中で子どもの様子を観察できます。
お子さんが強く興味・関心を持っているものを一つでも集中してやらせてみることで、無理なくモンテッソーリ教育を家庭でも取り入れることが可能です。
自分で取り組むことを推奨する環境づくり
子どもが何かをやろうとする時、親がやった方が良いということが多々あります。
・着替え
・床のぞうきん掛け
・お風呂のそうじ
・洗濯物たたみ
上記のような一つ一つを、子どもが「やってみたい!」と思ったタイミングで自力でやり遂げられる環境を作ることが、家庭でモンテッソーリ教育を取り入れる第一歩です。
たとえば着替えなら、どこに何が入っているのか子どもがすぐにわかり、自分で取り出せる場所に収納しておきます。
掃除なら、子どもがすぐに使える場所にぞうきんとバケツを用意しておくなどをします。
この時に、ままごとなどのおもちゃではなく、「子どもに合うサイズの本物」を用意することが、モンテッソーリ教育では大切だと考えられています。
準備から実践し、片付けるところまでが一連の流れです。
それらをひと通り子どもが自分で取り組める環境を用意しておくと、スムーズにモンテッソーリ教育が取り入れられます。
まとめ
このページでは、モンテッソーリ教育に期待できる効果6つと家庭で取り入れる方法をそれぞれ解説しました。
モンテッソーリ教育を取り入れるときのポイントは、大きく分けて以下の3つです。
・大人は子どもに教育・指示するのではなく「見守る」
・教具を正しい時期に与え、活用する
・子どもの敏感期に合わせた「お仕事」を体験させる
日々の生活の中でお子さんの敏感期を見逃すことがないようしっかり観察し、まずはこのページで紹介した方法を家庭で試してみてはいかがでしょうか?