モンテッソーリ教育とは?特徴・メリット・デメリットを徹底解説!
モンテッソーリ教育とは、子どもの自主性を育むことを目的とした教育法です。
メディアなどでも取り上げられるようになり、耳にしたことがある方も多いでしょう。
そこで今回は、モンテッソーリ教育とはどのようなものか・特徴・メリット・デメリット・身に付く力について徹底解説します。
もくじ
モンテッソーリ教育とは?
モンテッソーリ教育を深めるために、まずは基本的な知識を整理していきましょう。
以下の4つの観点から紹介します。
・「自己教育力」を根底とした教育法
・モンテッソーリ教育のルーツはイタリアの女性医
・日本では義務教育前に活用されることが多い
・モンテッソーリ教育を受けた著名人
1つずつ見ていきましょう。
「自己教育力」を根底とした教育法
モンテッソーリ教育は、「自己教育力」を根底とした教育法です。
大人は子どもに教えるのではなく、子どもをよく観察し環境を整えることを重要としています。その上で、自立・発達していこうとする力である自己教育力を育むことを目的としています。
モンテッソーリ教育のルーツはイタリアの女性医師
モンテッソーリ教育は、イタリアの女性医師のマリア・モンテッソーリがきっかけで始まりました。
マリア・モンテッソーリは、ローマ大学で初めての女性医学博士です。
ローマ大学卒業後は障害児の治療教育に関わり成果をあげています。
また、障害児への取り組みを広く健常児に用いることを提案し、保育施設として「子どもの家」を設けました。
ここで生まれたのがモンテッソーリ教育法です。
日本では義務教育前に活用されることが多い
欧米を中心にして世界各国に広がりを見せるモンテッソーリ教育は、日本では義務教育前に活用されることが多い傾向にあります。
マリア・モンテッソーリが設けた「子どもの家」は日本にもあり、2〜6歳の子どもが通っています。
モンテッソーリ教育は「子どもの家」でしかできないわけではなく、家庭で知育玩具を活用してできるものもあります。
モンテッソーリ教育を受けた著名人
モンテッソーリ教育を受けた著名人は、世界をはじめ日本にも多数います。
例えば、アンネの日記の著者であるアンネ・フランク、Amazonの創設者、Googleの共同創設者、Wikipediaの創設者など、名だたる世界的な著名人がその影響を受けています。
日本では、将棋界の藤井聡太竜王、卓球の平野美宇選手が有名です。
分野は違っても、それぞれが持つ才能を開花させることができる教育法といえるでしょう。
モンテッソーリ教育の特徴
次に紹介するのは、モンテッソーリ教育の特徴です。
・日常生活を大切にする
・「模倣期」と「敏感期」に合わせた教育
・整えられた環境が必要
・「仕事」の時間がある
・個性的な教具を使用する
1つずつ見ていきましょう。
日常生活を大切にする
1つ目は、日常生活を大切にすることです。
モンテッソーリ教育では、行事が少ない傾向があります。
例えば、多くの保育園で行われている運動会・発表会などでは、このために多くの時間を使って練習をしますが、モンテッソーリ教育では、行事の練習などはせずに日常の一部として小さく行われます。
これは、日常生活を大切にするという考えに基づいているからです。
「模倣期」と「敏感期」に合わせた教育
2つ目は、「模倣期」と「敏感期」に合わせた教育です。
モンテッソーリ教育は、発達段階の特徴に合わせて乳幼児期を「模倣期」と「敏感期」の2つに分けており、「敏感期」に焦点を当てて教育をします。
0〜3歳までを前期、3〜6歳までを後期とし、それぞれに現れる「敏感期」に合わせて環境を用意します。
敏感期には、自分を成長させるための感受性が高まり、与えられた環境から自分自身で選び取る力が芽生えます。
自分で選んだものなので熱心に取り組むことができ、学びの吸収力が高まる時期とも言えます。
整えられた環境が必要
3つ目は、整えられた環境が必要なことです。
モンテッソーリ教育での整えられた環境とは、「自ら教具を選ぶことができること」「「面白そう」と興味を持てる教具があること」「縦割りのクラス編成」「発達段階に応じた環境を整備し自己形成を助けてくれる教師」の4つです。
モンテッソーリ教育では、子どもの自主性を育てて、自ら選ぶことを尊重します。そのため、興味を持てる教具・その様子を観察する教師が欠かせません。
「仕事」の時間がある
4つ目は、「お仕事」の時間があることです。
モンテッソーリ教育では、通常のおもちゃを利用した一般的な遊びと区別するために教具を使った活動を「お仕事」の時間としています。
それは、教具を使う目的が、子ども自身の自己形成であるためです。例えば、日常生活の練習としてシール貼り・紐通しなどを行います。
個性的な教具を使用する
5つ目は、個性的な教具を使用することです。
モンテッソーリ教育で使用する教具は、子どもが「おもしろそう!」と興味を示し、「やってみたい」と思わず手に取りたくなるよう工夫されています。
色・形に止まらず、手触りから重さまで、細部に渡って子どもの興味関心を引きつつ、扱いやすいものが取り入れられています。
例えば、「本物」であることを重要視するために、お皿などはプラスチックではなく陶器・ガラスを使用します。
これは、「お皿は丁寧に扱わないと割れてしまう」ということを伝え、慎重に扱う感覚を養うためです。
モンテッソーリ教育の5分野
モンテッソーリ教育の5分野は以下の通りです。
・日常生活の練習
・感覚
・言語
・算数
・文化
1つずつ見ていきましょう。
日常生活の練習
モンテッソーリ教育の5分野の1つ目は、日常生活の練習です。
日常生活の練習とは運動の教育のことを言います。
ここでいう運動とは、体操のように身体を動かすのではなく、日常生活の中で起こる運動のことです。
環境に適応する上で必要な動きを獲得したり、自分の思った通りに身体の部位を動かせるようになったりすることを目的としています。
この運動を通して、生きる環境との関わりを実感すると同時に、精神の発達が促進される効果があると言われています。
感覚
モンテッソーリ教育の5分野の2つ目は、感覚です。
人間はさまざまな情報を感覚で収集するため、感覚を研ぎ澄ますことは、外界の世界からバラエティに富んだ多くの情報をしっかりと吸収する能力を発達させます。
3歳になれば、基本的に人間の多くの感覚器官が発達しています。
この時期をモンテッソーリ教育では「感覚の敏感期」として、感覚を研ぎ澄まし洗練していく時期としています。
感覚教育では、「ものを観察する能力」「ものを考える方法」を身に付けることができます。
こうした能力や方法は、言語・算数・文化教育の基礎となります。
言語
モンテッソーリ教育の5分野の3つ目は、言語です。
モンテッソーリ教育の中で、言語はとても重要な分野です。
人間は本来言語を知らずに生まれてきます。
母国語は、周囲の言語と環境により習得されていきます。中でも、言葉の量や質は周囲の環境によって左右されるものです。
発達段階の時期に、こうした言葉の量や質に恵まれた環境におかれることで、語彙を豊かにしていきます。
モンテッソーリ教育では、絵本・文字カード・絵カードなどの教具を用いて言語教育を行い、「話す」「読む」「書く」の作業を通じて語彙を豊かにします。
算数
モンテッソーリ教育の5分野の4つ目は、算数です。
幼児期は、『数の敏感期』という時期にあたります。
この時期は、大きさや量に興味を示します。
算数教育では、算数教具を利用することが非常に重要です。
教具を利用することにより、ただ数を数えるだけではなく、その数を具体的なものとして扱えるようになります。
文化
モンテッソーリ教育の5分野の5つ目は、文化です。
文化教育とは、言葉や数以外の、子どもが興味を持つあらゆる分野にわたる教育です。
教科で表すと、社会や理科に相当します。
例えば、歴史・地理学・地学・社会動植物、また、音楽・美術などの芸術分野も含みます。
こうした幅広い領域の中で、知識だけではなく身近なものとして体験して感じることで、文化として習得していくのです。
モンテッソーリ教育のメリット
モンテッソーリ教育のメリットは、以下の4つです。
・個性を伸ばすことができる
・情緒の安定・積極性が身に付く
・自分の意見を持って伝えられる子になる
・社会性の基礎が身に付く
1つずつ見ていきましょう。
個性を伸ばすことができる
モンテッソーリ教育では、子どもはそれぞれの発達段階や性格に合わせた教育を基本としています。
持って生まれた性格を最大限に生かせる教育であるため、それぞれの個性が伸び伸びと育ちます。
情緒の安定・積極性が身に付く
モンテッソーリ教育のメリットの2つ目は、情緒の安定・積極性が身に付くことです。
モンテッソーリ教育では、学習の方針も受身型のカリキュラムではなく、自分が興味や関心を持ったことに対して徹底して取り組むことを重視するため、子どもの情緒が安定し、物事に対する積極性が身に付きます。
自分の意見を持って伝えられる子になる
モンテッソーリ教育のメリットの3つ目は、自分の意見を持って伝えられる子になることです。
モンテッソーリ教育の方針は、自ら考えて解決するという自立の姿勢を育むことにもつながります。
そのため、子どもはさまざまなことを知ること・学べることを心から楽しめるようになります。
さらに、こうした経験を通じて自分の意見もしっかりといえるような子に成長します。
社会性の基礎が身に付く
モンテッソーリ教育のメリットの4つ目は、社会性の基礎が身に付くことです。
モンテッソーリ教育では、クラス編成が縦割り制度を取り入れているため、さまざまな年齢層の子どもたちと集団生活を行います。
そのため、年齢を問わないコミュニケーションがとれるようになります。
年上の子が憧れのリーダーであったり、年下の子の面倒を見てあげたりするといった縦社会の規律を学びながら、社会性の基礎が育まれます。
モンテッソーリ教育のデメリット
モンテッソーリ教育のデメリットは、以下の2つです。
・大人びた子どもになる可能性がある
・物足りないと感じる子どもが出てくる
1つずつ見ていきましょう。
大人びた子どもになる可能性がある
モンテッソーリ教育のデメリットの1つ目は、大人びた子どもになる可能性があることです。
モンテッソーリ教育では、個性を尊重する教育を基本としているため、反面では協調性がなく、自己中心的な行動を起こしやすいとも言われています。
また、みんなで協力し合いながら何かを成し遂げるといった集団的な行動が苦手になる可能性もあると言われています。
物足りないと感じる子どもが出てくる
モンテッソーリ教育のデメリットの2つ目は、物足りないと感じる子どもが出てくることです。
モンテッソーリ教育では、教具を使用した遊びが多いことで手先を器用に動かせる、というメリットがあります。
しかし、その反面、インドアの遊びだけでは、活発な子どもにとっては、物足りないと感じる子どもも出てくるでしょう。
また、運動する時間が減ることから運動能力が伸びない、といったデメリットもあります。
モンテッソーリ教育で身に付く力
モンテッソーリ教育で身に付く力は、以下の3つです。
・見通しを立てて仕事を組み立てる力
・細かい作業を丁寧に取り組む力
・最後まで粘り強く諦めない力
1つずつ見ていきましょう。
見通しを立てて仕事を組み立てる力
モンテッソーリ教育で身に付く力の1つ目は、見通しを立てて仕事を組み立てる力です。
モンテッソーリ教育を通じて、仕事をした後に片付ける能力が鍛えられ、順番や約束を守ることの重要性を学びます。
こうした経験から、仕事の手順を守ると能率が上がることを学び、最終的には見通しを立てて仕事を組み立てる力が身に付くでしょう。
細かい作業を丁寧に取り組む力
モンテッソーリ教育で身に付く力の2つ目は、細かい作業を丁寧に取り組む力です。
モンテッソーリ教育の教具を使う過程を通じて、手指の動きがしなやかになり、集中して作業をすることでわずかな違いを見抜けるようになります。
そのため、より正確に仕上げようとする能力が身に付きます。
手先が器用になり細かい作業を丁寧に取り組むことが苦になりません。
最後まで粘り強く諦めない力
モンテッソーリ教育で身に付く力の3つ目は、最後まで粘り強く諦めない力です。
モンテッソーリ教育で集中して物事に取り組むことにより、集中力はさらに鍛えられます。
また、物事に対する責任感も育まれることにより、最後まで粘り強く諦めない力が身に付くのです。
まとめ
今回は、モンテッソーリ教育の特徴、メリットやデメリットなどについて解説しました。
モンテッソーリ教育の何よりも重要な目的は、「子どもの自主性を育むこと」です。
モンテッソーリ教育を通じて、子どもが自立するとともに、責任感や集中力、そして想像力を養うことができるでしょう。
お子さんの教育にモンテッソーリ教育を取り入れたいと思う方は、家庭でも取り入れられますので、ぜひ試してみてください。