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2022.06.13

子どもの空間認識能力を育むための基礎知識とおすすめの遊び

空間認識能力を養う おもちゃで遊ぶ男の子

空間認識能力は、子どもの頃から鍛えることで、将来の可能性を広げることにつながると言われています。

また、STEM教育(科学・技術・工学・数学)と呼ばれる教育システムにも深い関わりがあり、近年、注目を集めている子どもの能力の1つです。

このページでは、空間認識能力が注目されている理由・身に付けるメリット・遊びを通じたトレーニング方法などを詳しく解説します。

空間認識能力とは何か?

「空間認識能力」とは、三次元空間における物の位置・形・方向・速さ・物と物との位置関係を、すばやく正確に認識する能力のことを言います。

空間認知能力・空間把握能力などともよばれることがあります。

空間認識能力とは?

空間認識能力が注目されている理由

空間認識能力が注目されている理由は、「空間認識能力」が高い人は「IQ(Intelligence Quotient=知能指数)」も高い傾向があると言われているためです。

 

これは、学術雑誌『図学研究』(第34巻、2000年)に掲載された論文「MCT (切断面実形視テスト)によって評価される空間認識力と一般知能との関係」において、「『空間認識能力』と『IQ』にかなり高い相関が見られることがわかった」と報告されています。

 

空間認知能力をトレーニングして、効果的に知能指数の向上をはかろう!という狙いから、この「空間認識能力」がいま注目されています。

出典:MCT (切断面実形視テスト)によって評価される空間認識力と一般知能との関係 図学研究 第34号 2号 | 国立研究開発法人科学技術振興機構

 

子どもが空間認識能力を身に付ける効果

それでは、子どもが空間認識能力を身に付けることで得られる効果について、さらに詳しく見ていきましょう。

・絵や図が上手に描ける
・運動能力が高くなる
・危険回避が可能になる

1つずつ、解説します。

 

絵・図が上手に描ける

空間認識能力を育む お絵描き

子どもが空間認識能力を身に付ける効果の1つ目は、絵や図が上手に描けるようになるということです。

絵は、三次元の物体を二次元の平面に落とし込んでかきます。物の形や奥行き、物がどのように置かれているのかなどを立体的に理解することで、絵や図を上手に描くことができるようになります。

 

運動能力が高くなる

サッカーをして空間認識能力を養う男の子

子どもが空間認識能力を身に付ける効果の2つ目は、運動能力が高くなるということです。

スポーツ全般において、人や物との距離感やその速さを認識する力は非常に重要です。

 

例えば野球であれば、ピッチャーが投げる球がどこに向かって、どんな速さで飛んでくるのかによって、その球を打ち返すためのバットを振るタイミングや角度が異なってきます。

陸上リレーであればバトンを渡す側・受ける側の速さやバトンとの距離感、どれくらいのリードを取ればバトンを落としたり加速をゆるめたりせずバトンパスができるのか、といった予測をたてるときに「空間認識力」の高さが重要になると言えます。

 

危険回避が可能になる

空間認識能力を身に付けると危険回避が可能

子どもが空間認識能力を身に付ける効果の3つ目は、危険回避が可能になるということです。

外を歩いていれば、電柱や自転車、車や他の歩行者など障害物だらけです。

前を走る車・自転車がどんなスピードで、どれくらいの距離から近づいてくるのか正確に把握できれば、どのタイミングで道を渡れば良いのか的確に判断することができます。

空間認識能力が身に付いていることで、物と自分の距離感をつかめるようになるため、危険回避ができるようになります。

 

空間認識能力が高い子どもの特徴

では、空間認識力が高い子どもにはどんな特徴があらわれるでしょうか。その特徴を見ていきましょう。

・相手にわかりやすく説明できる
・理解力が高い
・高い行動力を発揮できる

1つずつ、解説します。

 

相手にわかりやすく説明できる

空間認識能力が高い 絵を描く女の子

空間認識力が高い子どもの特徴の1つ目は、相手にわかりやすく説明できるということです。

空間認識能力が高いと、物の構造を正確に捉えることができ、絵や図を上手に描くことができます。
絵や図が上手に描けることで、言葉ではうまく伝えづらいことを図解して相手にわかりやすく説明することができるようになります。

 

例えば、人から道を聞かれた時、現在地と目的地との距離感・位置を把握できれば、地図を書いて説明することができます。

口で説明するだけではうまく伝わらないことも、絵や図を使うことによって、相手に理解しやすい方法で説明することができるようになります。

 

理解力が高い

空間認識能力を育む男の子

空間認識力が高い子どもの特徴の2つ目は、理解力が高いということです。

空間において距離感などを把握できる子どもは、物事においても全体を把握する能力が高い傾向にあります。そのため、話をきちんと理解する能力が高くなります。

また、頭の回転が早いため、ものごとに臨機応変に対応することができます。

 

高い行動力を発揮できる

空間認識能力を育む 走る子ども達

空間認識力が高い子どもの特徴の3つ目は、高い行動力を発揮できるということです。

空間認識能力が高い子どもの行動力が高い理由は「自分がどのように行動したら良いか」をすぐに判断できるからだと言えます。

 

例えば、鬼ごっこで鬼につかまらないように、どの方向にどうやって逃げれば良いのかを瞬時に判断できます。

同じように、自分が今何をすべきなのか、何を求められているのかを理解するのが早いため、すぐに行動に移すことができます。

 

空間認識能力は鍛えることができるのか

さて、空間認識能力は鍛えることができるのでしょうか?

空間認識能力は、人間の潜在的な能力の中で眠っている最大の部分だとも言われており、トレーニングによって鍛えることが可能です。

 

以前、「話を聞かない男、地図が読めない女」という本が大ヒットしました。

この書籍の中で、女性は男性に比べて正しく地図を読み解くことが苦手だと言われていました。しかし、実際には性別は関係なく、後天的に空間認識能力を向上させることが可能です。

 

では、具体的にどのようなトレーニングをして空間認識能力を鍛えるのかを解説していきます。

空間認識能力を鍛えるおすすめの遊び

それでは、空間認識能力を鍛えるおすすめの遊びを紹介します。

・折り紙
・パズル
・積み木
・鬼ごっこ

1つずつ、ご紹介します。

 

折り紙

空間認識能力を育む 折り紙で遊ぶ子ども達

1つ目は、折り紙です。

平面の正方形を折ることで、さまざまな立体を作り出すことができる折り紙は、空間認識能力を鍛えるトレーニングになります。

一枚だけではなく、色々な折り方をして組み合わせ、ひとつの作品を作る物もあるため、平面から立体を理解するための良いトレーニングになります。

 

パズル

空間認識能力を育む パズル遊びをする子ども

2つ目は、パズルです。

バラバラになっている1枚の絵を、それぞれのピースを組み合わせながら絵に戻していくパズルは、空間認識能力のほか、記憶力・図形認識能力・色彩判別能力など、多くの能力を同時に養うことができる遊びです。

形が合わないとピースが組み合わないパズルは、自然と物の形を意識して遊ぶため、空間認識能力のトレーニングに最適です。

 

積み木

空間認識能力を育む 積み木で遊ぶ女の子

3つ目は、積み木です。

積み木はさまざまな形の物を積み重ねて遊ぶため、物の構造を理解するには絶好の遊びだと言えます。

同じ立方体でも、正方形と長方形で積み重ねることができる個数や高さが変わってくるため、大きさや奥行きなど立体的な構造を学ぶことが可能です。

 

鬼ごっこ

空間認識能力を育む 鬼ごっこをする子ども達

最後は、鬼ごっこです。

鬼ごっこをする場所には、影になる物や障害物があることが少なくありません。

鬼側は、その障害物をどのように避けて素早く逃げる側に近づき相手を捕まえられるか。

逃げる側は、鬼からいかにして遠くへ逃げるか考えながら効率的に走り回ります。

どちらも「走っている空間をどのように動き、相手との距離をはかるのか」を瞬時に考えながら動くため、空間認識能力のトレーニングになっています。

 

空間認識能力を身につけた子どもにおすすめの職業

ここでは、空間認識能力を身につけた子どもがその能力を活かせる、おすすめの職業を紹介します。

・建築家
・機械設計
・クリエイター
・スポーツ選手

1つずつ、紹介します。

 

建築家

空間認識能力が必要な建築家

1つ目は、建築家です。

建築家は平面の図面を見て、立体的な家を設計するため、まさに空間認識能力が必要とされる職業です。

家の中の柱・必要な設備の設計は正確さを求められます。

適切な大きさをイメージして、鉄骨・木材・コンクリートなどで構築していく、空間認識能力がもっとも活かされる職種だと言えます。

 

機械設計

空間認識能力が必要な機械設計

2つ目は、機械設計です。

機械の設計にはCADという図面作成ソフトを使います。

このCADの資格試験「3次元CAD利用技術者試験」の1級・準1級では、2次元の図面を見て3Dモデルを作成する問題が出されますが、この問題を解くためには高い空間認識能力が必要とされます。

この資格を取ることで、自動車や機械の設計やオペレーターなどの仕事に就くことができそうです。

 

クリエイター

空間認識能力が必要なクリエーター

3つ目は、クリエイターです。

ゲームやアニメなど、画面の中でいかにリアルな3次元空間として見せられるものを作れるかがクリエイターとしての重要な素質です。

距離感・サイズ感に不自然さがないよう、奥行きを表現するには空間を正確に把握して描写する能力が必要です。
クリエイターは、空間認識能力が欠かせない職業だと言えます。

 

スポーツ選手

空間認識能力が必要なスポーツ選手

最後は、スポーツ選手です。

野球のイチロー選手、バスケットボールのマイケル・ジョーダン選手、サッカーのマラドーナ選手などは、空間認識能力の優れたスポーツ選手として有名です。

 

スポーツ選手として活躍するには空間認識能力があると優位だと言えます。

特に球技などのチームプレイの場合は、位置関係や速さを見極めて動く必要があるため、欠かせない能力の1つとなるでしょう。

 

まとめ

このページでは空間認識能力が注目されている理由・身に付けるメリット・遊びを通じたトレーニング方法などを詳しく解説しました。

空間認識能力は誰でもトレーニングすることで向上させることが可能な能力です。

 

高い空間認識能力を身に付けることによって子ども自身の将来の可能性が広がり、選択できる仕事の幅も広がる可能性が高まります。

日常生活においても地図を正確に読めたり危険を回避することに繋がったりと、とても役に立つ能力ですので、ぜひ楽しみながら空間認識能力をトレーニングしてみてください。

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