赤ちゃんのモロー反射とは?激しいときの対処法も解説
生まれたばかりの赤ちゃんには、突然手足を広げる『モロー反射』が見られます。
「モロー反射ってなに?」
「モロー反射で赤ちゃんが目を覚ますときはどうしたらいい?」
という疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
そこでこのページでは、モロー反射の基礎知識や、頻繁に起こる場合の対処法を詳しく紹介します。
もくじ
モロー反射とは?
赤ちゃんのモロー反射とは、どんな動きでいつ起こり、いつ頃まで続くのでしょうか。
ここでは、モロー反射の動作や出現する時期など、基礎知識を解説します。
どんな動き?
モロー反射とは、赤ちゃんが驚いたように両手両足を広げたあとに、体の中心に向かって手足を縮める動きのことです。
何かに抱きつこうとする動きに見えるため、抱きつき反射とも言われます。
どんなときに見られる?
モロー反射は、赤ちゃんが外からの刺激を感じたときに起こります。
外からの刺激とは、音・光・体の向きの変化・温度変化などです。
例えば、扉がバタンと閉まる音やまぶしい光が顔に差したなどの刺激で、モロー反射が起こることがあります。
他にも、抱っこからおろしたときなど、赤ちゃんの体勢を変えたときに起こることもあるでしょう。寒い、暑いといった室温の変化があったときに見られることもあります。
いつからいつまで起こる?
モロー反射は、生まれた直後から見られ、生後4〜6ヶ月で自然に消失します。
しかし、反射が見られる時期は赤ちゃんによって異なり、発生時期はあくまでも目安だと言えます。
表出する時期が少し早かったり遅かったりしても、心配しすぎる必要はないでしょう。
モロー反射はなぜ起こるの?原因を解説
モロー反射は、音や光など環境からの刺激が起因となり発生します。
赤ちゃんは、まだ手足をうまくコントロールできないため、自分の手足の動きに驚いてモロー反射が起きることも少なくありません。
しかし反応には個人差があり、刺激に反応しやすくモロー反射で目を覚まし、泣いてしまう赤ちゃんもいれば、そのまま眠り続ける赤ちゃんもいます。
モロー反射は、新生児期の原始反射の一つです。
原始反射は、赤ちゃんがお腹から出てきた外の環境に適応するために、生まれたときから備わっている動きのことで、赤ちゃんの意思とは関係なく起こります。
生まれて間もない頃は危険の予測がうまくできないため、どのような環境の刺激にも反応してしまうと考えられています。
モロー反射以外の代表的な原始反射に、赤ちゃんの手に指で触れると、ぎゅっと手を握る動作をする手掌把握反射や、唇に何かが触れると、口でとらえようとする探索反射などがあります。
いずれも、成長とともに消失するものです。
そのため、原始反射が見られるか否かは、赤ちゃんの中枢神経の発達や成熟が順調かどうかの判断材料となります。
モロー反射などの原始反射は、赤ちゃんの成長や発達過程を知るためにも、重要な役割を果たしているのです。
モロー反射が激しくて起きる!眠れないときの対処法は?
赤ちゃんは、1日に何回もモロー反射が見られるのが一般的です。
赤ちゃんにとって睡眠はとても重要ですが、赤ちゃんによっては回数が多くて目を覚ましてしまうこともあるでしょう。
そこで、モロー反射が激しいときの対処法を知っておくと役に立ちます。
モロー反射の頻度を抑えるには、以下の3つの方法が効果的です。
・環境を整える
・おくるみで包む
・抱き方を意識する
それぞれの対処法について、詳しく解説します。
環境を整える
モロー反射が何回も起こり赤ちゃんが目を覚ましてしまうときには、周囲の環境を整えましょう。
赤ちゃんは、外部からの刺激を受けるとモロー反射が起こるケースが多いため、環境を変えることで頻度を減らせるかもしれません。
外部刺激を減らすために、以下の方法を試してみましょう。
・歩くときや扉を閉めるときに、大きな音が出ないようにする
・エアコンの風が直接当たらないようにする
・窓にレースカーテンをして直射日光を和らげる
・照明の明るさを落とす
・気温が低い日には寝具を暖めておく
おくるみで包む
モロー反射対策には、赤ちゃんをおくるみで包む方法があります。
きつくならない程度に体を包み、腕や膝が動かないようにする方法です。
赤ちゃんは汗をかきやすいため、肌への刺激が少ないオーガニックコットンなどを使いましょう。
暑い季節なら、ガーゼ生地やパイル生地など通気性の良い生地を使うのもおすすめです。
赤ちゃんがおくるみを嫌がるときは、巻かれることが嫌なのか、肌触りなどが気に入らないのかよく確かめましょう。
大きめのバスタオルでゆるめに巻いてみて反応を観察したり、素材の違うおくるみを使ってみたりするなど、さまざまな方法も試してみましょう。
抱き方を意識する
モロー反射の対策として、赤ちゃんの抱き方を改善する方法があります。
赤ちゃんを抱くときは、頭の位置が下がらないように注意しましょう。
突然、体の向きが変わるとモロー反射が起こることもあるため、急に高く抱き上げる、向きを変えるなどは避けましょう。
また、赤ちゃんが安心できるように背中をなでたり、トントンと優しくたたいたり、スキンシップするのもおすすめです。
モロー反射をあまりしない!病気の可能性はある?
モロー反射が出ないときや、赤ちゃんの動きが変わったときなどは、病気にかかっているのではないかと心配することもあるでしょう。
モロー反射でかかりつけ医の診察も検討したほうがいいケースには、以下の2つがあります。
・モロー反射が見られない場合
・モロー反射ではなく、てんかんかもしれない場合
それぞれのケースについて詳しく解説します。
見られない場合
モロー反射には個人差がありますが、まったく見られない場合には「核黄疸」である可能性も考えられます。
核黄疸は、新生時期に起こる皮膚や眼球が黄色を帯びる現状である黄疸の一つです。
核黄疸は、脳性麻痺の原因になるため、病院では光線療法や交換輸血が行われることもあります。
心配な場合は、出産した病院や、かかりつけの小児科医に相談しましょう。
てんかんかもしれない場合
モロー反射と混同されがちな症状に、ウエスト症候群(点頭てんかん)があります。
ウエスト症候群は難治性のてんかんです。
頭を前に垂れる、両足をビクンと広げるという動作をします。発生時期は生後3ヶ月〜11ヶ月です。
ウエスト症候群では、他にもこれまでできていた首すわりやお座りができなくなったり、笑わなくなったりするといった発達の後退が見られます。
モロー反射とウエスト症候群の動きは一見するとよく似ているため、判別するのが困難です。まずは乳児健診を受け、かかりつけの小児科医に相談しましょう。
モロー反射が消えない!発達障害の可能性はある?
モロー反射は、生後6ヶ月までにしなくなるのが一般的です。
けれども、赤ちゃんの発育は一人ひとり異なるため、長引くと不安になることもあるでしょう。
しかし、モロー反射がいつまでも見られるからといって、発達障害だとは言いきれません。
不安に思うときは、赤ちゃんのモロー反射の様子をよく観察し、記録に残すことをおすすめします。
回数・起こった時間などをノートなどに記載し、乳児健診などでかかりつけ医に相談しましょう。
動作が気になるときは、動画を撮影しておくと診察を受けるときに役立ちます。
まとめ
モロー反射は、大きな音や光などの刺激で起こる、赤ちゃんの原始反射の一つです。
モロー反射が何度も起こり赤ちゃんが起きてしまうときは、「過ごす環境を見直す」「体をおくるみで包む」「抱き方を意識する」などの対処法を試してみましょう。
モロー反射は、赤ちゃんの発達を知るための判断材料にもなります。
心配なことがあれば、一人で抱え込まずに医師や保健所に相談してみましょう。