自己肯定感を子どもが高める方法やおすすめの本やおもちゃを紹介!
子育てをしていると「子どもの自己肯定感を高めることが大切」と聞くことはないでしょうか。
しかし「自己肯定感とはそもそもどんなものなのか」「自己肯定感が低かったり、高すぎたりするとどんな問題があるの?」と疑問に思われる方もいるかと思います。
今回は、自己肯定感について解説し、子どもの自己肯定感を高めるための方法やおすすめの本・おもちゃをご紹介します。
もくじ
自己肯定感とは?子どもの教育や学校で注目される訳
そもそも、自己肯定感とはどのようなもので、どうして教育において重要とされているのかについて、ここでは解説します。
そもそも自己肯定感とは?
自己肯定感とは、「私は生きている価値がある」「私は私でいい」という気持ちです。
自己肯定感は子どもの心が成長する土台です。
0~3歳に大人に無償で抱っこしてもらったりお世話してもらったりすることで、自己肯定感の基礎が作られます。
その基礎をもとに、3歳からしつけや生活習慣などを身に付けさせられるようになります。
自己肯定感を育みながらしつけや生活習慣を身に付けさせると、好奇心も旺盛になるため、学校での勉強も効率よく進めやすくなります。
出典:明橋大二「3~6歳の これで安心 子育てハッピーアドバイス」1万年堂出版、p16-19(2017)
保育の現場から文部科学省まで注目する自己肯定感
子どもの自己肯定感はしつけを身に付けさせるときなどの基礎となるため、多くの保育の現場で以前より重視されてきました。
文部科学省でも、乳幼児の発達において重視すべき課題として、自己肯定感の獲得を挙げています。
また、2020年から順次改訂されている学習指導要領では前文で下記が記されています。
これからの学校には,こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ,一人一人の児童が,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓ひらき,持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。
このことは、学校が子どもたちの自己肯定感を育むことを目標とすることが大切だと示したものでもあります。
自己肯定感は、子どもの発達のためにも、またこれからの時代を生き抜く人材となる上でも必要な要素として、教育現場で注目されているのです。
出典:3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題|文部科学省
自己肯定感が高い子ども・低い子どもの特徴
ここまで、自己肯定感を高める大切さについて述べてきました。
実際に自己肯定感が高い、もしくは低いと、どのような特徴があるかについて、ここから詳しく解説します。
自己肯定感が高い子どもの特徴
自己肯定感が高いと、積極的にコミュニケーションが取れるようになり、社会的評価が高くなると考えられています。
自己肯定感が高い子の特徴には、下記のようなものがあります。
・よいところも悪いところも含めて、自分を認められる
・好奇心旺盛で、ポジティブ思考である
・他人の目を気にし過ぎず、自信を持って対処できる
・失敗しても立ち直りが早い
・周囲と自分を比べすぎない
人がどう言おうと、最終的には自分で自分を肯定できるのが、自己肯定感が高い人の特徴と言えるでしょう。
自己肯定感が低い子どもの特徴
自己肯定感が低いと、自分を信じる力が小さいため、社会や他人との関わりにハードルを感じる可能性があります。
自己肯定感が低い子の特徴には、下記のようなものがあります。
・失敗を恐れて、新しいことへの挑戦を避ける
・過剰に傷ついたり、攻撃的になったりしやすい
・他の人や自分を大切にできない
・自分や物事のだめな部分に目が行き、よい部分を見ることができない
・ルールや約束が守れない
自己肯定感が低いと、自分を守るために、非を認めづらくなります。
そのため、他の人とトラブルになりやすくなったり、聞き分けが悪くなったりする恐れがあります。
子どもの自己肯定感が高いメリットとは?高すぎると問題はあるの?
自己肯定感が高いと、どのようなメリットがあるのでしょうか。また、自己肯定感が高すぎることには、問題はないのでしょうか。ここから詳しく解説します。
自己肯定感が高いことのメリット
前述のように、自己肯定感が高い人は好奇心旺盛であるなど、多くのプラスの特徴があります。それらの特徴があることで、下記のようなメリットが期待できます。
・失敗を恐れず物事に積極的に取り組めるため、目標や夢を実現しやすい
・他者と自分を比較して過剰に反応しないため、自分の価値観に従って行動できる
・異なる意見に耳を傾けられ、良好な人間関係を築きやすい
「自分は自分」としっかりとした芯をもって過ごせるため、他の人や環境に振り回されることなく、満足感を得やすいと言えるでしょう。
自己肯定感が高すぎると何か問題はある?
専門家の間では、「自己肯定感が高すぎると問題がある」という意見と、「高くても問題ない」という意見の両方があります。
「高すぎると問題がある」との意見では、自己肯定感が高すぎると下記のような問題があるとされます。
・自分勝手で協調性がない
・自分の非を認められず、都合が悪いと責任転嫁をする
・自分を大きく見せようとする
一方「高くても問題ない」とする意見では、上記のような問題は単に「うぬぼれが強い」状態であり、自己肯定感が高すぎる状態とは違うとしています。
つまり、両者はそもそも「自己肯定感をどう定義するか」の点が異なると言えます。
しかし、いずれにおいても「協調性がない・責任転嫁するといった態度では社会に適合しにくい」と主張している点は同じです。
子どもの自己肯定感を高めることは、単に子どもが自信満々になることを目指すのではありません。
子どもがありのままの自分を認め、無理に自分を大きく見せることのないよう、健全な人格を育むことが必要です。
出典:
明橋大二「3~6歳の これで安心 子育てハッピーアドバイス」 1万年堂出版、p56-59(2017)
子どもの自己肯定感が低くなる原因は?
頑張って子育てしているつもりでも、知らず知らず子どもの自己肯定感が低くなることがあるかもしれません。
ここでは、子どもの自己肯定感が低くなってしまう原因や対応について解説します。
他国と比べて日本の子どもの「自己肯定感」は低い
しつけや生活習慣・学業の土台ともなる自己肯定感ですが、今の日本の子どもは、諸外国と比べても自己肯定感が低いと調査で明らかになっています。
内閣府の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」では、日本を含め韓国やアメリカ・スウェーデンなど、全7カ国の若者を対象に調査を行いました。
それによると、「自分自身に満足している」という質問に「そう思う」と回答した日本の若者は10.4%と対象国の中では最も低く、次に低いスウェーデンの30.8%と比べても3分の1以下という結果でした。
文部科学省設置の教育再生実行会議においても、このように諸外国に比べて自己肯定感が低いままでは、これからの時代で求められる資質・能力が十分に育めないとされ、家庭や地域の教育力向上のための環境作りを引き続き進めるとしています。
出典:
自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓く子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上(第十次提言)|文部科学省
特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~|令和元年版子供・若者白書(全体版)|内閣府
子どもの自己肯定感を下げる対応とは
子どもを大切に思っていても、大人の対応によっては、子どもの自己肯定感を下げてしまうことがあります。
子どもの自己肯定感を下げてしまう大人の対応には、以下のようなものがあります。
・子どもの主張に共感せず、頭ごなしに否定したり突き放したりする
・しつけやルールを優先して、罰を与える
・「わがまま」「だめな子」など、人格を否定する
特に1歳までの低年齢の子どもは、大人の言うことが理解できないことが多くあります。
また、2歳ごろでは、言うことは理解できたとしても、約束を守れないことも多いです。
子どもの年齢・発達に合わせて、しつけを行うべきかどうか考えることが必要です。
出典:明橋大二「0~3歳の これで安心子育てハッピーアドバイス」1万年堂出版、p86-92(2017)
自己肯定感を診断するテストがある?子どもについて質問回答でチェック
ここでは、子どもの自己肯定感をチェックできるテストをご紹介します。
東京都教職員研修センターは、就学前の幼児・特別支援学級等や小学校低学年の児童など自己評価が難しい子どもの自尊感情(自己肯定感)の傾向を把握するための行動観察ができる「他者評価シート」を、ホームページで公開しています。
教師向けに作られたものですが、家庭でも子どもの自己肯定感の傾向を把握するのに役立てられるはずです。
チェック項目については、下記シートの32~33ページをご覧ください。
自己評価を行うことが難しい子供の自尊感情の傾向を把握するために~「他者評価シート」の開発~|東京都教職員研修センター
自己肯定感を高める方法とは?子どもへの対応や声かけで気をつけること
ここからは、子どもの自己肯定感を高める対応や声かけについて、具体的にどうしたらよいのかを解説していきます。
習慣・マインドセット編
まずは、子どもの自己肯定感を高めるにあたっての心構えを説明します。子どもに対応する前に、自分の意識を振り返るところから始めましょう。
子どもは下・大人は上と思わない
子どもを大人よりも下の立場として扱うのではなく、大人と同じ一人の人間として対等に尊重しましょう。
人格をもった一人の人間として扱うことで、子どもが「自分は尊重される価値のある人間」だと感じられることにより、健全な心が育めます。また、自らが尊重された経験は他者を尊重する気持ちにもつながるため、他者と互いに尊重し合う関係が築けるようになります。
甘えと自立はあくまで子どものペースで
子どもの心は、甘え(依存)と自立、ときには反抗を行ったり来たりしながら育まれます。
そのため、甘えてきたときに突き放したり、自立したいのに構いすぎたりすると、十分に自己肯定感が育めません。
たとえば子どもが「自分でお茶をつぎたい」「自分で着替えたい」などと意欲をもっていても、「どうせ無理でしょ」などと大人がやってしまうことは過干渉にあたり、自立心を奪うことになります。反対に、構ってほしいときに放置したり、「だめな子」などと全面的に否定したりすることも、自立心を奪うことにつながります。
忙しいときはなかなか難しいこともありますが、子どものペースに合わせ、甘えや自立を尊重することが大切だと頭に入れておきましょう。
声かけ・実践編
前述したマインドセットを踏まえ、ここからはどのように声かけをしたらよいか、具体的な実践方法を解説します。
子どもに対してレッテルを貼らない
子どもを見る上では、「この子は人見知り」「怖がり」のように、レッテルを貼らないことが大切です。
成長過程の子どもに対してレッテルを貼ってしまうと、子ども自身がその評価を意識してしまい、その姿を固定する恐れがあります。また大人も、「うちの子はこうだから」と一度決めつけたバイアスで見てしまい、「子どもを知ろう」「理解しよう」と尊重する姿勢が取りづらくなります。
大人の期待や思い込みを前面に出してそれと比較するのではなく、ありのままの子どもの姿を受け入れ、温かい眼差しを向けることが大切です。
むやみにおだてるのではなく行動や努力を認める
コロンビア大学で行われた研究では、「あなたは頭がいいのね」などと能力を褒められると、失敗を恐れて難しい問題を解かない子が多かったという結果が出ました。それに比べ、「頑張ったわね」などと努力を褒められた子の多くは難しい問題にチャレンジしました。
自己肯定感を高めようとしてむやみにおだてる必要はありません。ありのままの子どもの行動を認め、シンプルに褒めるよう心がけることが大切です。
失敗は挽回方法を教えて成功体験にする
失敗は、子どもにとっても成長の機会です。
自分で間違いに気付き、訂正することで成長につながります。たとえば子どもがお茶をこぼしたときは、こぼれたお茶の拭き方や台拭きの洗い方を大人自身がやってみせて教えるようにしましょう。
また、子どもが自分で拭けるように、台拭きを取りやすい位置に置いておくなどの工夫も大切です。失敗は放置すると失敗のままですが、やり直してうまくいけば成功体験になります。この成功体験を育むことが、自己肯定感を高める糧となるのです。
出典:モンテッソーリ教師あきえ「モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て」すばる舎、p118-119,212-215(2021)
子どもの自己肯定感を育てるおすすめの本や絵本&おもちゃ6選
ここからは、子どもの自己肯定感が高められるおすすめの本や絵本・おもちゃをご紹介します。
医師の書いた決定版「自己肯定感で子どもが伸びる 12歳までの心と脳の育て方」
著者である古荘純一氏は、青山学院大学教育人間科学部の教授で、小児科学や小児神経学・小児精神神経学などを専門とする医師です。
医師としての科学的知識と実際に患者と向き合ってきた経験に基づき、折れない心や、やり抜く力といった非認知能力を育む方法を解説しています。
「子どもがうそをついたとき」「散らかしっぱなしのとき」など日常で起こりがちな場面を取り上げて接し方がアドバイスされているため、子育てに悩む方の心強い味方となるはずです。
<自己肯定感で子どもが伸びる 12歳までの心と脳の育て方の特徴>
・小児精神医学や小児神経学などを専門とする医師による良書
・臨床の場を通じて得た知見と事例を交えて、わかりやすく自己肯定感の育て方について解説
・住環境・食事・習い事など、場面別に自己肯定感の育て方を説明してあり、生活に取り入れやすい
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/B083K42KSJ/
具体的な声かけのヒントが満載「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」
この本の基本となるモンテッソーリ教育は「子どもには生まれながらにして、自己教育力がある」との考えに基づき、子どもを観察して環境を整えることに重きを置く教育法です。
モンテッソーリ教育の視点から、約束が守れない・嘘をつくなどのケース別に、大人がどのような声かけをしたらよいかが、この本では具体的に解説されています。可愛らしいイラストと大きな文字で直感的に理解できるため、困ったときに何度も手元に置いて見返せます。
<モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブックの特徴>
・「子どもには自ら育つ力がある」とするモンテッソーリ教育の考えに基づいて書かれている
・縦の長さが21cmという大きめサイズにイラストメインで書かれており、わかりやすい
・子どもの自立を見守る心構えから具体的な声かけまでポイントを網羅
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/4299025164
モンテッソーリ教育について詳しく知りたい方は、こちらのページもぜひご覧ください。
関連記事:モンテッソーリ教育とは?特徴・メリット・デメリット・身に付く力を徹底解説!
絵本でストレートに愛情を伝える「どんなに きみがすきだか あててごらん」
野原に住むチビウサギとデカウサギが「どんなに、きみがすきだかあててごらん」「こーんなにだよ」とお互いに好きな気持ちを伝え合う絵本です。
腕を思いっきり伸ばしたり、ジャンプしたりして、デカウサギと競って愛情の大きさを示すチビウサギがいじらしく、静かな感動が味わえます。
本棚に置いて、何度も子どもに読み聞かせたい絵本です。
<どんなに きみがすきだか あててごらんの特徴>
・「あなたのことが大切」の想いを子どもに伝えるきっかけにできる
・ウサギたちが「大好き」の気持ちを伝え合う様子がかわいらしく、ほほえましい気持ちになる
・チビウサギ・デカウサギの関係性がはっきりしていないので、お母さん・お父さん・お友達など色々な人に当てはめて考えられる
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/4566003418
協力型ゲームでつながりも深まる「フクロウと太陽」
かわいいフクロウや太陽のイラストで、楽しんで遊べるボードゲームです。
太陽が昇り切るまでに、プレイヤー全員が協力して、フクロウを巣に帰すことを目指します。全員で知恵を出し合って相談し、有利な状況を考えるのがポイントです。
大人が口を出しすぎず子どもたちの成長を見守れば、自己肯定感を育む助けとなるでしょう。
<フクロウと太陽の特徴>
・2~4人のプレイヤーが力を合わせて進める協力型ボードゲーム
・ゲームを通して問題解決力やコミュニケーション能力が育める
・親子で協力して遊んで、子どもの「できた!」を見守れる
みんなで作って完成を目指す!「ひのきのつみき コロカラ&からからつみきセット(160ピース)」
国産ひのきを使った坂道とつみきのセットです。
組み合わせ方の例が載ったチャレンジブック付きなので、初心者でもつみきを組み合わせてタワーやドミノが作れます。また試行錯誤することで失敗しながら成功を目指せるので、小さな成功体験をたくさん積んで自己肯定感が養えます。
子どもから大人まで、世代を超えて楽しめるつみきです。
<ひのきのつみき コロカラ&からからつみきセット(160ピース)の特徴>
・20パターンの組み方と、動画が見られるQRコードが載ったチャレンジブック付き
・大きなタワーやドミノ倒しを組み合わせて、オリジナルのピタゴラ装置が作れる
・国産ひのきの無垢材で作られており、優しい香り&手触り
まとめ
自己肯定感が高いと、物事に積極的に取り組めたり、良好な人間関係を築きやすかったりと、多くのメリットがあります。
今、子どもの自己肯定感があまり高くなくても、このページで紹介したような正しい知識を付け、地道に子どもに接することで、自己肯定感を育めます。
親も子どもも、自分の良いところも悪いところも「これが自分」と受け入れれば、豊かな人生が送れるのではないでしょうか。